
警察官採用試験の合格に特化したオンラインスクール「警志塾」を運営している安齋です!
警察官は、日本の安全や治安を守るのに必要不可欠な職業です。一般的なイメージだと、交通違反の取締りや犯罪時の事件解決などが挙げられます。
しかし、実際にはもっと細かい仕事に分けられており、犯罪の予防や防犯指導なども警察官の仕事です。警察官の仕事内容を理解しておくことで、警察官としての目標を明確にしやすくなります。
この記事では、警察官の仕事内容を中心として最低限知っておくべき基礎を解説します。これから警察官を目指す方は、採用試験を受験する前に必ず確認しておきましょう。
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警察官とは?


警察官とは、人々の安全と治安を守るために、犯罪の予防や捜査、交通の取締りなどを行う公務員です。警察官の責務は、警察法第2条第1項でも以下のように定められています。
第二条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。 |
また、警察組織は平成25年4月1日時点で各都道府県に、警察本部や警察学校などに加え、1,173の警察署が配置されています。
【都道府県の警察組織】


警察官の仕事内容について知る前に、警察官とはどんな組織なのかを明確に理解しておくことが大切です。



警察組織や法律についても簡単に理解しておきましょう!
警察官の仕事内容一覧


警察官と言っても、全員が防犯や犯罪捜査をしているわけではありません。警察官の中でも様々な仕事に分かれており、それぞれに特徴があります。
警察官の仕事内容は、以下の表を参考にしてください。
配属・担当部署 | 主な仕事内容 | 活動場所 | 勤務時間の特徴 |
---|---|---|---|
地域警察 | 巡回、道案内、事件初動対応 | 交番・地域 | 交代制(夜勤あり) |
刑事警察 | 捜査、取調べ、証拠収集 | 署内・現場 | 不規則、緊急出動あり |
交通警察 | 交通指導、取締り、事故処理 | 道路・現場 | 日勤中心 |
生活安全警察 | 少年非行・DV・ストーカー・薬物などの生活に関わる犯罪対応 | 地域・署内 | 日勤中心(夜間対応もあり) |
警備警察 | 要人警護、デモ・テロ対策などの治安維持全般 | 地域・署内 | 不規則、突発的勤務あり |
組織犯罪対策 | 暴力団・薬物・密輸組織などへの対応 | 現場・署内 | 不規則、緊急出動あり |
公安警察 | スパイ・テロ・過激派など国家安全保障に関わる捜査 | 秘匿性の高い環境 | 極秘性・不定形勤務 |
総務・警務 | 人事・庶務・採用・広報など組織運営の事務 | 本部・署内 | 日勤中心 |
特殊詐欺対策 | オレオレ詐欺・還付金詐欺などの詐欺事件捜査 | 電話・振込などの追跡・捜査 | 日勤中心(現場調査あり) |
サイバーセキュリティ対策 | サイバー攻撃対策・情報セキュリティ対応 | 署内・インターネット上 | 日勤中心 |
警察行政職員 | 事務処理、予算管理、受付業務などの警察事務 | 署内・本庁舎 | 日勤中心 |
参考:採用情報|警察庁Webサイト
参考:サイバー警察局|警察庁Webサイト
参考:警察活動の支え
参考:警察庁 採用パンフレット(一般職事務系)
同じ警察官でも、仕事内容や求められる能力が全く違う場合も多いです。仕事内容によっては、活動場所が署内以外となることも多いため、どんな仕事があるのかを理解しておきましょう。



身体を使うことだけが警察官の仕事ではないんです!
地域警察


地域警察は、交番や管轄地域で日々の巡回や各地で起こる様々な事件・犯罪対応を行います。交替勤務制で24時間活動しており、警察官として働く全員が交番勤務を経験します。
市民の方にとっては最も身近な存在の警察官であり、コミュニケーション能力が求められます。交番勤務を行うことで、その後のキャリア目標も立てやすくなるでしょう。
刑事警察


刑事警察は、犯罪現場での実況見分や証拠の収集などが主な業務です。ドラマなどでよく見る警察官の姿として代表的なのが刑事警察です。
実際には、毎日地味な操作を続けることで証拠を集め、被疑者の検挙に繋げます。捜査の状況次第で不規則な出勤も多くなりますが、警察官としてのやりがいも感じやすい仕事と言えるでしょう。
交通警察


交通警察は、交通事故を減らすことを目的として、交通指導や取締りなどの交通安全教育を行います。パトカーでの指導だけでなく、白バイを活用するのが特徴です。
これら取締りを行うのは「交通機動隊」と呼ばれ、白バイの安全な操縦や走行方法を学ぶ「白バイ専科」の訓練を受ける必要があります。交通機動隊員になった後も新任教育訓練を受ける必要があるため、警察官の中でも専門的な知識と技術が必要な部署です。
参考:白バイ隊員になるには?
生活安全警察


生活安全警察は、ストーカーや薬物、DVなど日常生活の中で発生しやすい犯罪やトラブルに対する取締り・防犯活動を行います。日勤業務が中心となりますが、必要に応じて夜間の対応も行うのが特徴です。
また、市民の方から直接相談を受けるケースが多いため、コミュニケーション能力はもちろんのこと事件の本質を見抜く力も求められます。
警備警察


警備警察は、人が多く集まるイベントの警備や災害救助、要人警護などを行います。花火大会や初詣などのイベントに加え、災害警備や警衛警備なども行うのが特徴です。
大きなイベントがある際に警備が必要になるため、時期によって突発的な勤務が多くなります。
組織犯罪対策


組織犯罪対策は、暴力団や不良外国人、薬物などの組織犯罪を取締るのが主な仕事です。犯罪組織の実態を解明し、資金源を潰すことで犯罪組織の壊滅や弱体化を目的としています。
犯罪の中でも罪の重い事件を取り扱うことになるため、危険が伴うこともあります。しかし、その分やりがいも感じやすい仕事です。
公安警察


公安警察は、スパイやテロ活動など国家の安全に関わるような犯罪の防止や取締りを中心として活動しています。秘匿性の高い情報をもとに活動するため、市民の前に立って大々的に活動する場面は少ないです。
少しのミスが重大な問題に繋がりやすいため、公安警察の動きに関する情報や捜査内容は極秘とされているのが特徴です。
総務・警務


総務・警務は、警察組織を運営するために必要な書類・財務管理、採用管理などを行います。人材の確保や成長などの基礎的な部分を担う部署であり、裏から警察組織を支えているのが特徴です。
刑事や交通警察のように現場で犯罪と向き合うような働き方ではありませんが、警察組織になくてはならない業務と言えるでしょう。
特殊詐欺対策


特殊詐欺対策は、オレオレ詐欺や還付金詐欺など特殊な方法で騙す詐欺被害を防止・検挙するのが主な仕事です。起きた犯罪の検挙よりも特殊詐欺を未然に防ぐ防犯が重要であり、年齢関係なく被害に合わないための防犯活動がメインとなります。
近年は、SNSを使ったロマンス詐欺や投資詐欺も横行しているため、若者に対する対策も増えています。
サイバーセキュリティ対策


サイバーセキュリティ対策は、サイバー犯罪の実態解明や被害の未然防止、サイバー犯罪の捜査などを行います。民間事業者と連携することも多く、日本全体をサイバー攻撃から守れるような活動を進めているのが特徴です。
警察行政職員


警察行政職員は、事務処理や窓口対応など警察事務の専門的業務を行うことで警察官を支えています。全体の業務を通しての勤務環境を整えることが目的であり、警察行政職員がいるからこそ警察組織がスムーズに運営されています。
体力に自信がないけど、警察官を裏からサポートしたいという気持ちを持っている方などにおすすめです。
警察官の種類


警察官は、普段から目にしている都道府県警察だけではありません。都道府県警察を含めた警察官の種類や違いに関しては、以下の表を参考にしてください。
項目 | 都道府県警察 | 警察庁 | 皇宮警察本部 |
---|---|---|---|
管轄 | 各都道府県内 | 全国(都道府県警察を統括) | 皇居・御所・皇族関係施設など |
公務員の種類 | 地方公務員 | 国家公務員 | 国家公務員 |
主な業務 | 地域の治安維持、交通取締、刑事捜査など | 警察行政の企画立案、指導・監督、広域犯罪対策など | 皇族の護衛、皇居・御所の警備、施設内の警察業務 |
採用試験 | 各都道府県が実施する警察官採用試験 | 国家公務員試験(総合職・一般職) | 警視庁による独自の採用(国家公務員) |
組織構成 | 地域課・生活安全課・刑事課・交通課・警備課など | 長官官房、刑事局、警備局、交通局など | 総務部・警務部・護衛部・警備部など |
特徴 | 国民と最も接点が多い現場の警察 | いわば「日本の警察の司令塔」 | 皇族の安全確保が最大の使命 |
参考:警察庁
参考:サイトマップ | 皇宮警察本部-IMPERIAL GUARD HEADQUARTERS-
同じ警察官でも、公務員の種類や業務内容が全く異なります。警察官を目指している方は、以上3つの違いを明確にしておくことが大切です。



地方公務員の警察官は「都道府県警察」に所属する警察官だけです!
都道府県警察
都道府県警察は、各都道府県を管轄する警察組織です。警察法第36条にも、以下のように定められています。
第三十六条 都道府県に、都道府県警察を置く。 |
都道府県警察には、警察本部(東京都は警視庁)に加え警察署が置かれています。また、警察署の下に交番や駐在所が置かれています。
警察庁
警察庁は、日本の警察制度を企画立案したり警察行政の調整などを行う国家公安委員会の機関です。警察庁長官が長を務めており、都道府県警察の指揮監督も担っています。
また、都道府県警察と警察庁も身分は同じ警察官ですが、都道府県警察は地方公務員であり警察庁は国家公務員と違いがあります。試験内容や日程も異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
皇宮警察本部
皇宮警察本部は、天皇皇后両陛下の護衛や皇居などの警備を専門に行う警察組織です。正確には、警察官ではなく「皇宮護衛官」であり、皇宮護衛官採用試験を受ける必要があります。
皇宮護衛官は、護衛部門や警備部門など様々な部門に分かれており、様々な特徴を生かして働くことも可能です。
警察官以外に警察と関わりのある仕事
警察官以外に警察と関わりのある仕事としては、以下のようなものが挙げられます。
- 検察官
- 裁判官
- 法医学
法律に基づいて、事件解決に繋がる仕事を行うという点では警察官と似ています。それぞれ特殊な知識や経験などが必要となりますが、警察官と同じ志で仕事ができるでしょう。



警察官が向いてなさそうだと思ったら、この3つを選択肢に入れるのもおすすめです!
警察官の働き方


警察官の働き方は、一般的な企業のように平日の昼間に勤務し、土日祝日が休みというわけではありません。事務や窓口がメインの毎日勤務以外の警察官は「交代制勤務」と呼ばれる勤務形態で働いています。
交代制勤務は、24時間勤務や日勤を組み合わせた勤務形態のことです。交代制勤務の中でも、3交替制か4交替制かによってシフトが異なります。
それぞれのシフト例に関しては、以下を参考にしてください。
【3交替制のシフト例】


【4交替制のシフト例】


※警視庁のみが採用



交代制勤務は固定の曜日が休みになるわけではありません!
1日のスケジュール
警察官の1日のスケジュールは、交代制勤務か毎日勤務によって内容に違いがあります。勤務形態別の1日のスケジュールは、以下を参考にしてください。
柔道・剣道・合気道など、警察学校で訓練したことを勤務前に行う
警察署に出勤し、業務の指示連絡を受ける
前日の引き継ぎを受け交番勤務開始
昼食・休憩
防犯指導や遺失届等の受理、地理案内など
夕食・休憩
飲酒による事件や事故の対応やパトロールなど
休憩
不審者や騒音等の対処など
仮眠
交番前で通勤・通学路の交通監視など
勤務交替(業務終了)
柔道・剣道・合気道など、警察学校で訓練したことを勤務前に行う
警察署に出勤し、業務の指示連絡を受ける
前日の引き継ぎを受け交番勤務開始
巡回連絡やパトロールなど
昼食・休憩
防犯指導や遺失届等の受理、地理案内など
交番勤務終了
帰署後、引継ぎなどを行う
退庁
交代制勤務と毎日勤務の最大の違いは、夜勤があるかどうかです。警察官は夜間の呼び出しにも出動する必要があり、夜間の出動は交代制勤務の警察官が対応します。
また、交代制勤務で出動要請があった場合、1日をスケジュール通りに進めるのは難しいことを理解しておきましょう。
非番と週休の違い
交代制勤務のシフトは「当番」「非番」「週休」が繰り返される場合が多いです。非番と週休は似ていますが、意味合いは異なります。
週休は完全な休みなのに対し、非番は完全な休みではありません。非番は、当番の翌日に休息を取るために設けられた日であり、呼び出しがあれば出動要請がかかる可能性もあります。
そのため、警察官の働き方を理解する際には、非番と週休の違いも理解しておきましょう。
警察官の休日について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。


警察官になる方法


警察官になるためには高校や大学を卒業後、各都道府県の警察官採用試験に合格する必要があります。警察官採用試験では、筆記試験や面接試験を通して警察官としての能力や適性が判断されます。
警察官になる具体的な流れは、以下を参考にしてください。


警察官採用試験に合格した後は、各都道府県指定の警察学校で初任教育を受けます。警察学校には、高卒・短大卒で約10ヵ月、大卒で約6ヵ月間入校しなければいけません。
警察学校での初任教育が終了した後は、各地へ配属され警察官として働くことが可能です。



警察官になりたい方は警察官採用試験の概要を必ず理解しておきましょう!
警察官採用試験とは?


警察官採用試験とは、各都道府県が実施している警察官としての能力や適性を測る試験です。採用試験では筆記試験や面接試験などが行われ、警察官採用試験に合格することで警察官として働くことが可能です。
また、警察官採用試験は毎年4月から12月のうちに実施されています。開催時期は自治体や試験回によっても異なるため、申し込み期限も含めて事前に確認しておくことが大切です。
令和7年度の警視庁採用試験日程は、以下を参考にしてください。
試験回・類別 | 第1次試験日 | 第2次試験日 | 申込受付期間 | ||
---|---|---|---|---|---|
男性 | 第1回 | Ⅰ類Ⅲ類 (既卒) | 4月13日(日) | 5月10日(土)、17日(土)、18日(日)、31日(土) | 3月7日(金)~3月21日(金) |
第2回 | Ⅰ類 | 9月15日(月・祝) | 10月4日(土)、5日(日) | 8月12日(火)~8月22日(金)8月12日(火)~8月22日(金) | |
Ⅲ類 | |||||
女性 | 第1回 | Ⅰ類Ⅲ類 (既卒) | 4月13日(日) | 5月24日(土)、25日(日) | 3月7日(金)~3月21日(金) |
第2回 | Ⅰ類 | 9月15日(月・祝) | 10月11日(土) | 8月12日(火)~8月22日(金) | |
Ⅲ類 |
警察官採用試験対策について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。







希望する自治体については各々で事前に調べておきましょう!
警察官になるのに資格は必要ない
警察官になるのに、資格は必要ありません。警察官採用試験に合格した方は、全員が警察官として働けます。しかし、警察官になってから役立つ資格や警察官採用試験で熱意をアピールできる資格などはあります。
警察官におすすめの資格は、以下の3つです。
- 柔道や剣道などのスポーツ歴(大会出場経験など)
- TOEICや英検などの語学資格
- 情報処理技術者やITパスポートなどのIT関連資格
資格を持っているからと言って、確実に試験合格に繋がるわけではありません。ただ、資格を持っていることや警察官になるために資格勉強をしたことを伝えれば面接官へ与える印象も良くなるでしょう。



資格の有無よりも面接官に対してどんな印象を与えられるかが重要です!
警察官採用試験の難易度
警察官採用試験の難易度は非常に高く、警察庁では4〜10倍程度、地方公務員では平均で5〜6倍程度と言われています。例として、令和4年度と令和5年度の警視庁の採用試験倍率は以下を参考にしてください。
令和5年度 | 令和4年度 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
受験者数 | 合格者数 | 倍率 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | ||
男性 | Ⅰ類 | 4,978 | 824 | 6.0 | 5,379 | 886 | 6.1 |
Ⅲ類 | 2,173 | 272 | 8.0 | 2,492 | 243 | 10.3 | |
女性 | Ⅰ類 | 1,737 | 304 | 5.7 | 1,942 | 261 | 7.4 |
Ⅲ類 | 815 | 136 | 6.0 | 933 | 148 | 6.3 |
警視庁では過去2年間で第Ⅱ類試験を実施していません。同じ警察本部でも、受験区分や受験年度によって倍率が大きくことなることを理解しておきましょう。



人気のある警察本部ほど倍率が高いです!
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警察官の仕事内容は、非常に細かく分けられています。警察官になってからの明確な目標を持っていない方でも、興味のある仕事を見つけられるでしょう。
しかし、警察官として働くためには難易度の高い「警察官採用試験」に合格しなければいけません。警察官採用試験の合格率を高めたい方は「警志塾」で対策するのがおすすめです。
警志塾は、警察官採用試験(主に警視庁)合格を目指す予備校であり、警視庁OBが講師を勤めています。そのため、採用試験対策ができるだけでなく、警察組織や現場のリアルなアドバイスをもらえるでしょう。
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