警察官を目指すうえで、ひときわ格好いいイメージのある「特殊部隊」に入りたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、そもそも警察の特殊部隊とはどのような部隊なのか、なり方や仕事内容について詳しく解説していきます。
キャリアプランをしっかりと立て、理想の警察官に近づきたい人はぜひ最後までご覧ください。
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そもそも警察の特殊部隊とは?
警察における特殊部隊とは、警備部内の機動隊に編成されているSAT:サット(Special Assault Team:特殊急襲部隊)のことです。
警視庁をはじめ、大阪府警察・北海道警察・千葉県警察・神奈川県警察・愛知県警察・福岡県警察・沖縄県警察にも配置されています。
ライフルやサブマシンガン等、高火力を誇る装備が多数配備され、日本の治安を揺るがすような凶悪事件やテロなど、警備犯罪に対応するのが主な仕事です。
ドラマや映画などでよく目にするSATですが、警察官の中でも特に優秀な成績を残し、非常に厳しい訓練を乗り越えた人しかなれません。
特殊部隊というだけあり、警察の一部関係者を除き、家族にも所属部隊を秘密にしておく必要があります。
SATとSITは何が違う?
まず、SIT:エスアイティー(Special Investigation Team、もしくはSousa Ikka Tokusyuhan)とは「特殊事件捜査係」のことを指し、刑事部に設置され、高度な操作技術・科学的知識を必要とする事件の捜査に対応するための部署です。
各都道府県警察の、刑事部捜査第一課に設置されています。
大阪府警察だとMAAT(Martial Arts Attack team)、千葉県警察だとART(Assault and Rescue Team)など、警視庁以外では呼び方が異なります。
SATは要人警護やテロ対応が主な仕事の警備部に配置されているのに対し、SITは事件の証拠収集や捜査が主な仕事の刑事部に配置されているというのが1番の特徴です。
日本のSATとアメリカのSWATは何が違う?
まず、アメリカ警察のSWAT:スワット(Special Weapons And Tactics:特殊武器戦術)とは、通常の警察では対応できないような危険度の高い事件から、人質の救出や犯人の制圧をするための部隊です。
重火器を装備しているため、日本のSATと近いような印象を持たれますが、実はSATよりもSITのほうが部署的に近い役割を持っています。
SWATやSITが刑事事件において捜査から犯人逮捕等をするのに対し、SATは要人警護やテロ対応など、警備犯罪に対応する部隊だからです。
SATの立ち位置をアメリカで例えるならば、SWATと軍の間のような存在と言えるかもしれませんね。
特殊部隊の仕事内容
特殊部隊(SAT)は前述のとおり、警備犯罪に対する活動が主な仕事内容です。
通常の事件に対しては出動せず、国家の安全性を崩すような大きな事件や、国益を著しく損なうような襲撃に対してのみ対応します。
どのような仕事なのか、具体的に見ていきましょう。
テロ・ゲリラ活動への対処
ハイジャック等のテロ活動や、武力的な攻撃を伴うゲリラ活動など、予測不能かつ高度な戦術が必要となる事件に対応するのは特殊部隊です。
様々なシナリオに対応できる柔軟性と、迅速な行動力を備えるために、日々厳しい訓練を積んでいます。
公開演習がテレビで流れることもありますが、想像を絶する緊張感のもと行われる訓練は、圧巻のひと言でした。
凶悪事件の鎮圧
銃器が使われるような凶悪な事件の鎮圧をするのも、特殊部隊の役割です。
2007年に、暴力団組員の男性が同じ暴力団組織に所属する被害者を射殺した後、自宅のアパートに立てこもるという「町田市立てこもり事件」が起こりました。
拳銃を所持していた犯人に対応するため、SITとともにSATも投入されていたのは有名な話ですね。
このような凶悪事件を制圧するには、優れた制圧能力を持つ特殊部隊が必要不可欠です。
要人の身辺警護
特殊部隊は警備部に配置されている部隊のため、SP(セキュリティポリス)とともに、天皇陛下や海外の国賓警護など、要人の身辺警護も担っています。
要人警護は外交破綻や国益損失に直結する任務であるため、不測の事態に対する完璧かつ迅速な対処をしなければなりません。
直接警護するのはSPが主となりますので、特殊部隊に求められるのは事態を収拾させるための圧倒的な制圧力です。
警察の特殊部隊になる方法を解説
数ある部隊の中でも、特殊部隊に入るのはとても険しい道のりです。
紹介するステップ自体は非常にシンプルなものですが、実際にこなすのは特別な覚悟が必要です。
どのようにして特殊部隊に入るのか、具体的な方法について詳しく解説していきます。
まずは警察官の採用試験に合格する
特殊部隊に入隊するには、まずは通常の警察官と同様に、採用試験の合格が必要です。
そもそも特殊部隊が存在するのは、前述した8都道府県のみのため、受ける警察本部は間違えないようにしましょう。
さらにここで重要なのが、採用試験の結果が優秀であることです。
ギリギリのラインで試験を通過するようでは、今後待ち受ける試練に対抗できるわけがありませんし、なにより上役の目に留まることもなくなってしまいます。
筆記試験・面接試験・体力試験のいずれの試験科目にも準備を怠らず、計画的に対策を講じましょう。
警察学校を優秀な成績で卒業する
採用試験に合格した人は、全員警察学校に入校します。
警察学校は、警察官として必要な基礎的な知識・技術を身につける場です。
もし将来特殊部隊に配属されたいと考えているなら、学科と体力測定で上位の成績を残し、自分が優秀な人材であることをアピールしなければなりません。
実際に警察官として働き始める前に、すでに戦いは始まっています。
警察官としての経験を積んだら機動隊員への登用試験を受ける
警察学校を卒業し、警察官として何年かキャリアを積んだ後は、機動隊員になるための登用試験を受ける必要があります。
機動隊員は、集団警備力によって有事の際の即応体制を保つための部隊です。
爆弾処理班や銃器対策部隊、NBCテロ対策班など、特殊な事態に対応できる専門部隊が多く配備されています。
この機動隊の中に特殊部隊も属しているため、機動隊に入隊することで今後特殊部隊への勧誘がかかる可能性が生まれます。
機動隊に入るために、早いうちから「機動隊に入りたい」と希望を多方面に伝えておくのも1つの手です。
特殊部隊の入隊試験を受ける
機動隊員として活躍しているうちに、特殊部隊への勧誘がかかると、約2週間の入隊訓練を受けることになります。
ふるいにかけられた結果、合格すると、約1ヶ月にわたる新隊員訓練という最終訓練が行われ、その訓練に残ることができれば、晴れて特殊部隊に配属されます。
非常に狭き門となりますが、特殊部隊に入りたいという夢を叶えるための最後のステップですので、とにかく奮闘するしかありません。
特殊部隊の給料・年収
特殊部隊の給料や年収は、一切公開されていません。
記事の冒頭で述べたとおり、特殊部隊は家族にも配属先を言えないほど、秘匿性の高い部隊です。
加えて、入隊するまでの難易度が非常に高いため、給料や年収が低いということは考えられません。
しかし、あくまでも“いち公務員”であるため、そこまで収入が高くなるということも、おそらくないでしょう。
特殊部隊に向いている人の特徴
ここまでの内容で、特殊部隊に入ることが非常に厳しいものだとわかりました。
つまり、特殊部隊に向いている人は、当然その厳しさを乗り越える強さを持ち合わせている人だと言えます。
具体的にはどのような人が特殊部隊に入れるのか、詳しく見ていきましょう。
とにかく自分に厳しくできる
特殊部隊に入れる人は、とにかく自分に厳しくできます。
採用試験や警察学校の時点で、他の人よりも抜きん出た結果を残せなければ、その時点で特殊部隊に入るという夢は閉ざされてしまいます。
結果を残し続けるという点は、警察官として実際に働き始めてからも同様です。
そのため、他者に圧倒的な差を付けるためにも、常に自分に対して厳しくすることが求められます。
強靭な肉体・精神力を持っている
特殊部隊の訓練や任務はとても過酷なものとなるため、身体的な強さはもちろん、極限状態でも決して折れない強靭な精神力も必要です。
特殊部隊を目指すなら、へこたれている時間は一切ありません。
どんな過酷な状況にも対応できる体力・精神力があって、はじめて遂行できる仕事です。
もしも現段階で「自分はメンタルが弱いかもしれない」と思っている人は、今すぐ自分を奮い立たせ、厳しい環境に身を置きましょう。
なによりも“覚悟”ができている
特殊部隊に入るためにもっとも重要なのは、「本気で特殊部隊に入るんだ」という強い覚悟があるかどうかです。
生半可な覚悟では必ず途中で逃げ出したくなり、必要な努力ができなくなってしまいます。
特殊部隊を目指そうと決めた日から、実際に入隊するまでの数年間、一度もその覚悟を切らさずにいられる人のみが入隊できるような、厳しい世界です。
自分にその覚悟があるのかどうか、本気で特殊部隊を目指したいと思うなら、一度見直してみましょう。
まとめ
特殊部隊(SAT)に入るためには、採用試験に合格し、消防学校を出て、警察官としてのキャリアを積んだ後に機動隊へ入ることで、ようやく入隊の勧誘がかかります。
上記すべてのステップで常に結果を出し続ける必要があるため、とても厳しい道のりになるでしょう。
本気で特殊部隊に入りたいという夢を叶えたいなら、まずは採用試験を圧倒的な点数で合格するためにも、この記事を読んだ今日このときから、今できる努力を最大限しましょう。
「この国を守りたい」という強い気持ちがあれば、きっとできるはずです。
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