警察の鑑識になるには?具体的なステップ5つなど警視庁元警察官が解説

警察の鑑識になるには?具体的なステップ5つなど警視庁元警察官が解説
この記事で解決するあなたの悩み
  • 鑑識とはどんな仕事で、どんな役割を担うの?
  • 鑑識になるために必要なステップやスキルが知りたい!
  • 鑑識に向いている人はどんな人なの?

あなたの疑問や悩みを、警視庁で働いた経験のある元警察官の私が解説します。

鑑識は、犯罪現場での証拠収集や分析を担当する警察官で、事件解決に欠かせない役割を果たしています。

刑事課に所属し、指紋や血痕、物的証拠の分析を通じて容疑者の特定や事件の解明を支援します。

一方で、鑑識には高い観察力や精神的な強さが求められ、業務が「きつい」と感じられる場面も少なくありません。

この記事でわかること
  • 鑑識になるためのステップや仕事内容
  • 向いている人の特徴
  • 鑑識に関するよくある質問

鑑識の道を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

※交通事故専門の鑑識もありますが、本記事では刑事ドラマでよく見る刑事の鑑識について説明します。

鑑識は刑事課なので、刑事になるまでの全ステップを理解してから、鑑識について知るのもいいかもしれないですね。

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目次

鑑識の役割と仕事内容

警視庁 組織図
引用:警視庁公式ホームページ

鑑識は、犯罪現場での証拠収集や分析を専門とする警察官です。

現場での作業は事件の解明に直結するため、重要な役割を担っています。

鑑識になるには 警視庁
引用:警視庁公式ホームページ

本部では、鑑識課は刑事部に所属しています。警察署で、刑事課の鑑識係です。地域のおまわりさんも鑑識係の方にお世話になることも多いですね。

鑑識とは何か?

鑑識は、犯罪現場で発見される指紋や足跡、血痕、壊れた物品などを正確に収集します。

収集した証拠は科学的に分析され、容疑者の特定や事件の全体像の解明に活用されます。

また、法廷で証拠として提示される場合もあるため、細心の注意を払った作業が必要です。

足跡のことを、普通はあしあとと読みますが、警察では「そくせき」と読みます。

鑑識が来る事件とは?

鑑識が現場に派遣されるのは、物的証拠が重要な役割を果たす事件です。

以下に、主な出動ケースを挙げます。

主な出動ケース
  • 殺人事件や暴行事件
    犯行現場に残された血痕、指紋、凶器などを収集し、分析します。
  • 窃盗事件や侵入事件
    足跡や工具痕、破壊された窓や扉の痕跡を調べます。
  • 放火や火災
    火元の状況や燃え残り物から、火災の原因を解明します。

これらの事件では、鑑識の作業が捜査の基盤となりますので、本当に大事な役割を担います。

鑑識の仕事内容

鑑識が行う主な業務は、以下のとおりです。

業務内容具体例
証拠収集指紋、足跡、血痕、壊れた物品などを採取。
現場記録写真撮影や図面作成を通じ、現場の状況を正確に記録。
証拠の初期分析現場で採取した証拠の分類や簡易検査を実施。
報告書作成捜査資料として使用するため、分析結果を報告書にまとめる。
法廷での証言必要に応じて、証拠の正確性や分析結果を裁判で説明。

これらの業務を通じて、鑑識は事件解決に大きく貢献します。

証拠を適切に取り扱い、科学的な分析を進めるスキルが必要です。

鑑識に興味がある方は、自分が受験する警察のホームページ等を見て、鑑識体験のイベントを開催しているか確認してみましょう。イベントに参加することで、面接や論文にも活かせますよ。

鑑識になるためのステップ5つ

鑑識になるには、警察官としての経験を積みながら、専門的な知識とスキルを身につける必要があります。

以下では、鑑識になるための5つの主要なステップを詳しく説明します。

STEP
警察官採用試験に合格

警察官採用試験の合格が最初のステップです。

STEP
警察学校に入校・卒業

採用試験に合格したのち、大卒は6ヶ月、高卒は10ヶ月厳しい訓練を受けます。

STEP
地域警察官(おまわりさん)で警察の基礎を経験

地域警察官として、警察の基礎業務を学び、現場での対応力を鍛えます。

STEP
鑑識の講習に行く

刑事課が実施する「鑑識講習」を受講する必要があります。

STEP
鑑識に配属

講習を修了し、刑事課の鑑識係に配属されます。

ステップ①:警察官採用試験に合格

鑑識になるには、まず警察官として採用される必要があります。

警察官採用試験の合格が最初のステップですよ。

試験の主な内容は以下のとおりです。

警察官採用試験の主な内容
  • 筆記試験:一般教養、法律、時事問題など
  • 体力試験:持久力、筋力、柔軟性を測定
  • 面接試験:適性や人間性、問題解決能力を評価

これらを通じて、警察官として必要な基礎能力があるかが判断されます。

試験対策では、学力と体力の両方をバランス良く鍛えることが重要です。

ステップ②:警察学校に入校・卒業

採用後は、警察学校で約6か月から1年間の訓練を受けます。

訓練では、警察官としての基礎知識と技能を習得します。

警察学校での主な研修内容は以下の通りです。

研修内容目的
法律学刑法や刑事訴訟法を学び、捜査の基本を理解する。
実務訓練逮捕術や射撃訓練など、現場で必要なスキルを習得する。
体力訓練警察官としての体力を養い、業務に備える。

警察学校の卒業後は、交番や地域課での勤務に就き、現場での経験を積むことになります。

ステップ③:地域警察官(おまわりさん)で警察の基礎を経験

警察学校卒業後は、交番や地域課で勤務します。

地域警察官として、警察の基礎業務を学び、現場での対応力を鍛えます。

主な業務例
  • 巡回連絡
  • 地域の防犯パトロール
  • 交通安全の指導や取り締まり
  • 事件や事故の初動対応

これらの経験を積むことで、鑑識の必要な基礎力が身につきます。

ステップ④:鑑識の講習に行く

鑑識を目指すためには、「鑑識講習」を受講する必要があります。

この講習では、以下のような専門知識やスキルを習得します。

  • 証拠収集技術:指紋や足跡、血痕などの採取方法を学ぶ。
  • 現場検証技術:写真撮影、図面作成、現場記録の方法を学ぶ。
  • 法医学の基礎知識:死因の推定や傷の分類について学ぶ。

講習修了後、適性や実績が認められると、鑑識としての配属が考慮されます。

ステップ⑤:鑑識に配属

講習を修了し、鑑識としての適性が認められると、刑事課の鑑識係に配属されます。

配属後は以下の業務を担当します。

  • 犯罪現場での証拠収集(指紋、足跡、血痕など)
  • 証拠の初期分析と報告書の作成

現場での業務を通じて、鑑識としてのスキルをさらに磨いていきます。

鑑識への道のりは長いですが、やりがいのある職業です。

警察官採用試験を目指し、一歩ずつ進んでいきましょう。

鑑識の仕事はきついと言われる理由4選

鑑識は、犯罪現場で証拠を収集し、捜査を進めるための重要な役割を果たします。

その一方で、業務内容や職場環境から「きつい」と感じられる要素も多く、精神的・肉体的な負担を伴う仕事でもあります。

ここでは、鑑識の仕事が厳しいと言われる具体的な理由を4つ挙げて解説します。

理由①:犯罪現場での過酷な環境

鑑識は、殺人事件や暴行事件、交通事故など、ショッキングな現場に派遣されます。

血痕や遺体が残る状況で作業を行うことがあり、精神的に強い負担がかかります。

  • 冷静さが求められる:過酷な状況でも感情を切り替え、正確に作業を行う必要があります。
  • 精神的なケアが必要:厳しい現場を経験した後のメンタルケアも重要です
課題対策
感情的な負担が大きい上司や同僚と状況を共有し、サポートを受ける。
精神的疲労の蓄積趣味や運動を取り入れてストレスを解消する。

鑑識に限らず、警察はショッキングな現場に臨場することがあるのは事実です。

理由②:夜間や休日の緊急出動

事件や事故は予測できないため、夜間や休日でも呼び出されることが多く、生活リズムが不規則になります。

  • 予定の調整が難しい:急な呼び出しが続くと、プライベートの時間が制限されます。
  • 体力の維持が必要:不規則な勤務にも対応できる体力が求められます。

理由③:高い集中力が求められる業務

鑑識の仕事は、証拠の収集と分析において正確性が最優先されます。

ミスが捜査全体に影響を与えるため、長時間にわたり集中力を保つ必要があります。

集中力が求められる業務具体例
指紋や足跡の採取微細な証拠を見逃さず、正確に記録する。
現場写真の撮影証拠や状況を正確に残すため、細部に注意を払う。
報告書の作成分析結果を正確に文章化し、捜査に役立てる。

鑑識が採取した証拠によって、被疑者が有罪か無罪か決まることもあります。よって、仕事の綿密さと丁寧さが必須になります。

理由④:長時間労働の可能性

事件の複雑さや証拠の多さにより、業務が長引くことがあります。

特に、重要な事件や複数の現場を担当する場合、休む時間が取りづらいこともあります。

  • 連続した勤務の負担:作業が長引くと、体力的・精神的に疲労が溜まります。
  • 効率的な働き方が必要:作業の優先順位を決め、効率よく進めることが求められます。

鑑識の仕事は、大きな責任とやりがいがある一方で、心身に負担を感じる場面もあります。

働く環境や適切なケアを整えながら業務に取り組むことが大切です。

鑑識が向いている人の特徴5選

鑑識は事件解決に欠かせない重要な職種であり、その業務には特定の適性が求められます。

観察力や冷静さなど、特定の特徴を持つ人が向いているとされています。

ここでは、鑑識に向いている人の特徴を5つ挙げて解説します。

鑑識が向いている人の特徴①:観察力が高い人

鑑識は、現場に残された指紋や足跡、壊れた物品など、小さな証拠を見逃さずに見つける能力が必要です。

観察力が高い人は、捜査に役立つ重要な情報を迅速に収集できます。

業務内容具体的な例
指紋や足跡の採取微細な痕跡を見逃さず、正確に採取する。
写真撮影現場の状況を詳細に記録し、捜査に活かす。
異常点の発見証拠として見逃しがちな小さな変化を発見する。

観察力は、仕事をとおして上司や先輩から学び、成長していきますよ。

鑑識が向いている人の特徴:冷静な判断ができる人

ショッキングな犯罪現場でも、冷静に対応し、適切な判断を下す能力が求められます。

感情に流されず、落ち着いて作業を進める力が重要です。

  • 緊張感のある場面での対応:犯行直後の現場など、混乱した状況でも冷静さを保てることが求められます。
  • ミスを防ぐ行動:焦らず、慎重に証拠を扱うことで、ミスを防げます。

鑑識が向いている人の特徴:科学的な知識を持つ人

鑑識は、化学や生物学、法医学などの基礎知識を業務に活かします。

証拠の分析や現場の状況判断において、科学的な知識があると作業がスムーズになります。

  • 化学:薬物や化学物質の分析に必要です。
  • 生物学:DNAや血痕の検出に活用されます。
  • 物理学:破損状況や衝突痕の解析に役立ちます。

講習や実務をとおして鑑識に必要な知識を習得します。よって、今から気にしすぎる必要はないですよ。

鑑識が向いている人の特徴:コミュニケーション能力が高い人

鑑識は、他の警察官や捜査班、関係者との連携が必要な場面が多いです。

円滑なコミュニケーションが、チーム全体の捜査効率を高めます。

場面必要なコミュニケーション能力
捜査会議証拠の状況や進捗を正確に共有する。
他部署との連携証拠分析の結果を他のチームと共有する。
被害者や関係者との対応状況を聞き取り、必要な情報を引き出す。

捜査や証拠収集は、1人ではできません。連携をとりながら進めていくので、円滑なコミュニケーションが必要となります。

鑑識が向いている人の特徴:精神的にタフな人

犯罪現場や過酷な環境に対応するには、強い精神力が必要です。

困難な状況でも、使命感を持って冷静に業務を進められる人が向いています。

  • ストレスへの耐性:ショッキングな場面に直面しても、冷静に行動できます。
  • 粘り強さ:長時間の作業や複雑な案件にも根気よく取り組むことができます。

鑑識に向いている人は観察力や科学的知識、冷静な判断力を持つだけでなく、精神的なタフさと協調性も兼ね備えています。

これらの特徴を活かして、事件解決に貢献できる人が活躍しています。

一言で言うと、我慢強さは必要ですね。部活に打ち込んだり、受験勉強をした経験は絶対に活かされますよ。

鑑識に関するよくある質問5つ

鑑識を目指す方や興味を持っている方が疑問に感じやすいポイントを、5つの質問形式で解説します。

質問①:鑑識になるために特定の学歴や資格は必要ですか?

特定の学歴や資格は必要ありません。

ただし、以下のような知識やスキルがあると、採用後に役立ちます。

  • 理系の知識:化学や生物学、物理学の基礎知識は証拠分析で有利です。
  • 法学の基礎:刑法や刑事訴訟法の理解が業務に活かせます。
  • PCスキル:現場記録や報告書作成に必要なため、基本的な操作が求められます。

採用後の研修で基礎から学べるため、事前知識がなくても努力で対応できます。

質問②:鑑識と科捜研の違いは何ですか?

鑑識と科捜研職員はどちらも捜査に関わる重要な役割ですが、仕事内容に違いがあります。

職種主な役割所属
鑑識現場での証拠収集や簡易分析を行う。刑事課
科捜研職員科学的な分析を行い、捜査資料を提供する。科学捜査研究所(科捜研)

鑑識は現場対応が多く科捜研職員は分析室での作業が中心です。

質問③:女性でも鑑識になれますか?

女性も鑑識として活躍できます。

実際に、多くの女性の鑑識が犯罪捜査で重要な役割を果たしています。

女性が鑑識になるメリットには以下があります。

女性が鑑識になるメリット
  • 細かい作業に強い:微細な証拠を扱う際に適性があります。
  • 新しい視点を提供:捜査における多様性を生み出せます。

男性と同様に、体力や精神的な強さも求められますが、性別による制限はありません。

質問④:鑑識の勤務時間や働き方はどうなっていますか?

鑑識の勤務時間は、不規則なことが多いです。

事件や事故がいつ発生するか予測できないため、以下のような働き方が一般的です。

  • シフト制勤務:日勤と夜勤を交代制で行います。
  • 緊急対応:夜間や休日にも呼び出されることがあります。
  • 長時間労働の可能性:証拠収集や分析が長引く場合、業務時間が延びることもあります。

勤務が過酷になる場合もありますが、警察内でのサポート体制が整っています。

質問⑤:鑑識のキャリアアップは可能ですか?

鑑識はキャリアアップの可能性が多くあります。

経験を積むことで、以下のような進路が考えられます。

  • 昇任:鑑識課のリーダーや管理職を目指せます。
  • 専門性の深化:指紋やDNA分析など、特定分野でのスペシャリストになる道もあります。

キャリアを積み重ねることで、鑑識としての専門性を高めるだけでなく、警察全体での活躍の幅も広がります。

まとめ:鑑識になるために警察官採用試験合格しよう!

鑑識は、犯罪現場での証拠収集や分析を通じて事件解決を支える、警察組織の中でも重要な職種です。

この職業に就くには、まず警察官採用試験に合格し、警察学校での研修や現場での経験を積むことが必要です。

この記事のまとめ
  • 鑑識は、犯罪現場で発見される指紋や足跡、血痕、壊れた物品などを正確に収集する
  • 鑑識に興味がある方は、警察の鑑識体験のイベントを開催しているか確認してみる
  • 鑑識は大変な仕事だが、やりがいがあり楽しい仕事でもある

鑑識として働くためには、観察力や科学的知識、冷静な判断力、そして精神的な強さが求められます。

これらのスキルを活かし、犯罪捜査に貢献できるやりがいのある職業です。

警察官採用試験を第一歩として、鑑識への道を目指してみてください
挑戦を重ね、事件解決に貢献する未来を切り開きましょう。

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